醜男でも愛妻家「山風短 第四幕 忍者枯葉塔九郎」

本作は、山田風太郎先生の短編小説を、せがわまさき先生が漫画化したシリーズの、四作目です。

時代は江戸。

顔は良いけれど自分勝手な浪人・筧隼人は、駆け落ちしてまで一緒になった妻、お圭が邪魔になってきました。彼女を騙して、売り飛ばそうと企む隼人。

そんな彼に声をかけたのが、旅籠で隣室になった謎の男・枯葉塔九郎。

青黒い肌に異相で、お世辞にも美男とは言えない彼は、自分は忍者だと名乗ります。切っても元に戻る身体を持つ彼は、自分の術で、御前試合に勝たせてやる。その代わり、美貌の妻を譲って欲しいと。

提案に乗った隼人は見事に試合に勝ち、仕官の道が開けます。

そして夫の真意を知ったお圭は、塔九郎と姿を消しました。

それから数年……出世した隼人が道で会った巡礼姿の夫婦は、お圭と塔九郎でした。

自分といた頃とは違う、色っぽい魅力を纏うようになったお圭に、身勝手にも未練を感じる隼人。

権力で二人を捕らえ、お圭を強引に連れ帰ります。その際、卑怯にもお圭を盾にしますが、妻に危害を加えないでくれ、と急に弱る塔九郎。本気を出せば勝てるのに、勝利よりも、お圭の安全を優先したのです。そんな二人の男の差に、何かを感じるお圭。

身勝手な隼人と違い、醜男でも塔九郎は妻に惚れており、大切にしているのが伝わる場面です。

連れ帰ったお圭を口説き、強引に抱こうとした隼人は、彼女の脚の付け根に異様なモノを見て、悲鳴をあげます。そこには、塔九郎が妻の身を護る為に一瞬で忍ばせた、恐るべき「先客」が……。

山田先生らしい奇想天外な発想を、せがわ先生が見事に漫画にしています。そして、堅いお圭が塔九郎の妻になってからの、花が咲いたような色っぽさ。魅力的な姿に、美女を描くのが巧みな、せがわ先生の力量を感じます。少し異様だけど、幸せそうな塔九郎とお圭。女性の幸せは、夫次第なのだな、としみじみ思う作品です。