『精霊狩り』シリーズ

萩尾望都作。『精霊狩り』『ドアの中の私の息子』『みんなでお茶を』の3部作。
ダーナ・ドンブンブンたち精霊は、雷でさけた木の幹から生まれ、いつまでも若く長生きで、それぞれが様々な超能力を持ち人間たちに狩られる存在です。
萩尾望都の名作『ポーの一族』も同じように人間に忌み嫌われる者たちの物語ですが、かの作品がシリアスで悲劇的なドラマであるのに対してこちらはどこまでも陽気で明るいです。
第一部『精霊狩り』は精霊狩りの夜、ダーナはわざと人間たちを挑発しパラライザーで捕まってしまい『永久冬眠』刑になるところを、彼女に惚れてしまった人間の若者が『ダーナ救出』を世論に訴えたものだから大騒ぎ。
彼女の裁判シーンはミュージカル仕立てで見もの。
第二部『ドアの中の私の息子』は、女学校に通うダーナのお腹の中に新しい生命が。
精霊は木の幹から生まれると信じられていたので仲間たちもビックリ。
最初は彼女は実は人間で騙されていたと迫害しようとしますが、結局は『精霊ベビー第一号』ということでみんなで祝福。
父親不明のその赤ちゃんの父親に名乗り出たのは同じ精霊のイカルス。
彼は以前人間女性と結婚していてチャシーという娘がいます。
この子は産まれてわずか6週間だが外見は2歳児と同じ。
人間の元妻は出産3日目に彼女が走り出したのを見てショック死してしまいました。
この第二部は『生命とは何なのだろう』という問いかけがあり短編ながら内容は深いです。
結末は『お見事』という他ないです。
第三部『みんなでお茶を』はチャシーが中心となって、ダーナの表情も母親のそれとなります。
焼き討ちに会い逃げる夜の海岸線。
満ちていた潮がザッと引いていく場面。
その海の香さえ目で感じられました。