四月怪談は人生に悩んでいる10代の若者に一読して欲しい

大島弓子先生は、数多くの少女漫画を世に送り出されている巨匠ですが、その中でもこの「四谷怪談」は、生死の問題をテーマにした作品です。
高校2年生になったばかりの国下初子は、登校中に工事現場の落下物が落ちて来て亡くなってしまうのですが、未だ魂がこの世で浮遊している状態なのです。
そして、肉体は火葬されていない段階です。
そんな中で、親切な霊との交流が始まります。
岩井弦之丞と名乗る初子と同い年の幽霊は、「早く戻りなさい。自分の肉体が破壊される前に、生き返りなさい。」と、初子に説得を試みるのですが、彼女自身は霊の方が楽しいと、中々生き返ろうとはしません。
テレポートして映画を観たり、憧れのスターのコンサートに行ったりする方が初子にとっては有意義なのです。
16歳で、もし自分が初子の様になってしまったら、岩井さんの言う通りに直ぐ生き返ろうとするでしょう。
この世でやり残した事が余りにも多すぎるからです。
なので、彼女が生き返ろうとしない事に何故だろうと疑問を持ちました。
この作品中には「花」がキーワードとなっています。雪柳の枝を持って登校中に亡くなり、ラストシーンでは初子の事がずっと気になっていた夏山登というクラスメイトが、蓮華の花束を火葬される直前に「その棺、開けてください!文集に一番好きな花って書いてた!」と、走って来るシーンは涙が止まりません。
「蓮華!」と、初子は岩井さんを連れたまま自分の肉体に勢い良く飛び込みます。
蓮華の一握りの花束に触れた初子の指が動き、目をゆっくりと開けたシーンは、正に奇跡でした。
文集に書いていた事を覚えていた夏山君は、初子の事が好きだったのだと思います。
其処迄覚えているのは、気になっている人が書いた物だからです。
16歳、未来にどんな事が待っているか分かりません。
人生に悩んでいる10代の子供達に是非読んで欲しい名作です。